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京都地方裁判所 昭和57年(わ)75号 判決 1982年5月17日

本籍

兵庫県姫路市林田町林田一二九の二・一三四合併番地

住居

京都府宇治市大久保町上ノ山五〇番地の四

産婦人科医師

吉田誠

大正一五年六月二九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官清水治出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年および罰金二、四〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

ただし、本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、京都府宇治市大久保町上ノ山五〇番地の四において、吉田産婦人科を営むものであるが、所得税を免れようと企て

第一  昭和五三年分の総所得金額は一〇四、七〇五、二六九円で、これに対する所得税額は六一、〇二四、六〇〇円であったのにもかかわらず、公表経理上診療収入の一部を除外するなどし、これによって得た資金を架空名義あるいは無記名の定期預金にするなどして所得を秘匿した上、同五四年三月一五日京都府宇治市大久保町井の尻六〇番地の三所在の所轄宇治税務署において、同税務署長に対し、同五三年分の総所得金額は三二、四〇六、〇五一円で、これに対する所得税額は一一、〇八四、〇〇〇円(この金額には計算上の誤りがある。)である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右年分の正規の所得税額六一、〇二四、六〇〇円と右申告にかかる総所得金額に対する所得税額一一、三〇九、〇〇〇円との差額四九、七一五、六〇〇円を免れ

第二  昭和五四年分の総所得金額は九七、四四四、四三七円で、これに対する所得税額は五六、五二〇、〇〇〇円であったのにもかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、同五五年三月一五日前記宇治税務署において、同税務署長に対し、同五四年分の総所得金額は二九、〇九〇、一一二円で、これに対する所得税額は一〇、一八七、一〇〇円(この金額には計算上の誤りがある。)である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右年分の正規の所得税額五六、五二〇、〇〇〇円と右申告にかかる総所得金額に対する所得税額一〇、一九四、六〇〇円との差額四六、三二五、四〇〇円を免れ

第三  昭和五五年分の総所得金額は九三、二六四、七〇五円で、これに対する所得税額は五二、八五四、七〇〇円であったのにもかかわらず、前同様の不正の方法により所得を秘匿した上、同五六年三月九日前記宇治税務署において、同税務署長に対し、同五五年分の総所得金額は三六、四二五、〇五〇円で、これに対する所得税額は一四、〇九一、四〇〇円(この金額には計算上の誤りがある。)である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右年分の正規の所得税額五二、八五四、七〇〇円と右申告にかかる総所得金額に対する所得税額一四、〇九八、六〇〇円との差額三八、七五六、一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の被告人に対する質問てん末書一六通

一  前田義彦の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の赤井敏広、久保栄一、森千代子、嵯峨山務、大門容子、木下紘子、吉田ツヤ子(四通)、前田義彦(四通)に対する各質問てん末書

一  佐野陽一郎、佐竹照雄作成の各供述書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(三通)、脱税額計算書説明資料(三通)、所得税確定申告書謄本(三通)、証明書、調査報告書、査察官調査書(一四通)

一  寺下忠一郎作成の回答書二通

(法令の適用)

判示各所為 昭和五六年法律第五四号による改正前の所得税法二三八条一項、二項(刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑を適用、懲役刑と罰金刑併科)

併合罪 刑法四五条前段、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条

罰金刑につき同法四八条二項

労役場留置 刑法一八条

懲役刑執行猶予 同法二五条一項

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 村上保之助)

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